姫密桜
那智は、ジュースを一気に
飲み干して、その場に
立ち上がる。

「ナチ、どうしたの?」

「サクラ、帰るぞ」

「えっ、もう?」

「ああ、そうと決まれば
 一刻も早い方がいい
 
 今から送って行って
 やるから、家に着いたら
 アニキに即、言え
 
 嫌、今ここで電話しろ
 ほらっ」

携帯電話を差し出す那智に
私は驚く。

那智の携帯電話を取ったのは
和歌子。

「もう、ナチ君ったら
 ただの告白とは訳が
 違うんだよ
 
 サクラにだって
 タイミングがあるよ
 
 ねえ、サクラ
 
 聞いてる?」
< 629 / 675 >

この作品をシェア

pagetop