姫密桜
「何、アニキ
 
 式、やるの?」

「もちろん」

私には、聞こえたような
気がした。

歩いて行く櫂ちゃんの後姿に
槇は確かに、こう言った。

「アニキ
 
 ・・・ごめん」

槇がそう言った意味を
私は知る・・・

翌朝・・・

槇の部屋に槇の姿はない。

何も知らない私の部屋の
ドアが勢いよく開いた。
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