動き出す時計
「娘…ね。その人に親らしい事してもらった事ないよ。そんな人、親でもなんでもないわ。」

まるでどうでも良い、というように話す柚音。


そんな柚音に、紗弥加は何も声をかけることができなかった。

「進路の話、どうするの?」


紗弥加が、ためらいがちに尋ねる。


「どうもしないよ。相談なんてしない。働きたいなって思ってるんだ。あんな人が稼いだお金で生きていくなんて嫌気がさすもん。」


「今不景気よー。高卒で就職あると良いけどねぇ。」


「フリーターでもなんでもやるわ。とりあえず、自分で稼ぎたいの。」


「立派ね。」


「でしょ?」


くすくすと、自然と笑い合う。

「なんにしても、もう少し先の話だよ。今は楽しもう?紗弥加。」


にやりと、紗弥加に笑ってみせた。


「賛成。ね、帰りにさ、ちょっと寄り道してこうよ。最近新しいアクセ欲しくてさぁー!」



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