拾遺詩集 キマイラに捧ぐ

ホラー






 ホラー


確かに
ひとり行く道には
勇気が必要だ


自分の歩幅
速度

今は誰にも合わせることは
できない
緩めることも
速めることも

愛する人に
執着することも

嫌いな人を
拒むことも

速く歩くことが速くない

という事態を迎える

歩くことさえ
近づく手段ではない
ことも



だが
この、かくも不安な感覚は
何だろう


ほんとうにひとりだと感じる
それはよい

誰の共感も無い場所にいる
淋しさはない


ただ
自分のやることなすことが
全て間違っているのではないか
という
疑心暗鬼に囚われる


正・誤という
思考の中に巣食う二元性が今、
意味もなく
静寂を覆い隠している




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