拾遺詩集 キマイラに捧ぐ

遊星


 遊星


キミはまだ
欲しいものが見つかっていない

欲しいものを獲ること
に焦がれている
欲求不満の飢えたランナーだ

この道にはゴールがない
キミはゴールがないことを欲した
キミは今まで
いつも容易に
問いかけの答えを得られた
答えのある世界にキミは
一抹の虚しさをおぼえた
…のかも知れない

或いはもう食傷しているのか

答えのない道を欲した手前
ゴールには辿り着かない

キミは身悶えする
踊るように走りながら
何かを求めている
なのに一度だって満足がない
あれほど全ての答えを
苦もなく出せるのに

此処では一切のものが不条理過ぎる

ほら
それがゴールさ

身悶えするように踊りながら
走っているその今が

飢えに苛まれ
口の端から唾液が糸を引く
激しい走法に
身体は限界を予感している
ああだけどしかし
もうやめられない
キミの身体が眼が胸が
この不条理を手放せない

走り続けながら
キミは涙さえ流すだろう
キミはゴールのない道を選んだ
それ
それがゴールだ
流した涙が
ゴールの白線に変わっていく

キミはキミの足で描いている
その足跡こそが
キミのゴールなのだ
今はわからないとしても
毎瞬ゴールに在り続けるキミを
僕は永遠に見続けている









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