HEMLOCK‐ヘムロック‐番外編

「でもね。初めて昴を見たとき、本当ホストっぽくなくて、なんか気になっちゃったんだ。なんでホストなんかやってんのかなって不思議だった」

「な、なんだソレ」


 そこまで似合わなかったか、俺……。


「“ホストなんかじゃなかったら良かったのに”って思った」

「失礼なヤツだな」

「本当だよ
私の事、お客として見て欲しくなかった」


 ……え?



「ただの女として見て欲しかった。色カノにしてとか調子乗った事言ったけど、昴が優しくしてくれるたびに、色カレっぽく接してくれるたびに“営業”だもんな。って思えて……

逆に辛かった」


 ホストとはサービス業。

それを踏まえてホストは接し、そうと解ってて客は通う。

これはビジネス。


「じゃあ、良かったね。
昴なんてホストはもういないみたいだけど?」


 だが、どうやら俺も樒も“ホストと客”の暗黙の線引きからとっくにはみ出てるらしい。


「俺、透って言うんだけど。俺が代わりに“樒”って呼んでもいいかな?」


樒はびっくりして目を大きくしていた。顔がどんどん真っ赤になっていく。


「何ソレ。今までで一番ホストっぽい」

「……うるさいな」


 あの樒が恥ずかしそうに笑うのを見て、俺まで耳が熱い。


「いいけど、ソレ……、特別な人だけの呼び方だから」


< 30 / 33 >

この作品をシェア

pagetop