HEMLOCK‐ヘムロック‐番外編
「界は、ヤクザなのか? 警察にも知り合いがいたみたいだけど」
「違うと思う。ウチのパパとは知り合いみたいだけど。『ARIA』にホストとして潜入してたんだから、麻薬を追ってる警察じゃないの?」
「警察じゃないと思う」
警察だったら“通報”と言う表現にはならないハズ。
警察ともヤクザとも繋がりを持つ男、黒菱 界。
アイツは一体何者になってしまったんだろうか?
「……昴、もうホストは辞めるの?」
「うん。元々知り合いからの紹介だったから。それにもう、さすがに懲り懲りだ」
「昴、初めて笑った」
「え?」
樒に指摘されて、初めて口元が緩んでいた事に気付く。
「ずっと無理して笑ってたでしょ? 本当、昴ってホスト似合わない」
やっぱり樒には営業スマイルは見抜かれていたらしい。
「初めてARIAに、ホストクラブに行った時ね、私、親に無理やり結婚させられそうになってて、ヤケで飲みに行ったの」
「えぇ!?」
ヤクザに政略結婚があるのかどうか知らないが、そんな浮き世離れな事情に俺は驚いた。
「せっかくだから、親の金使い込んで反抗してやろうと思って」
それであのゴージャスな使い込みか……。