to:あなた from:私

おはよう





「なーなみーん」




後ろから声をかけられた。

放課後の部室とはいえ、いつ先生に見つかってもおかしくなくて、思わず携帯を閉じた。


没収されたら生きていけない。


もちろん先生な訳はなくて、部活仲間の亜依と美羽だった。それぞれ手に荷物を提げている。

私が所属しているのは漫画研究部…いわゆる、漫研。といっても大半は幽霊部員で漫画を描いている部員は一人か二人、あとはイラストが残りのほとんどを占めている。
ちなみに私はイラストでも漫画でもなく幽霊部員でもない小説派。



「何してんのー」

「メールー」

「メール好きすぎるな」

「携帯ないと生きていけない」



きっぱり言った私の頭に軽い衝撃。亜依の手荷物だった。

事実を言っただけなのに理不尽だ、と言うと美羽までが荷物を持ち上げてにっこり笑いかけてきた。

……酷い。

赤い携帯を揺らして見せると呆れたようにため息をついて二人とも隣に座った。

また携帯に視線を戻す。

あの日から私は毎日ずっと彼(彼女)とメールしている。

それこそおはようからおやすみまでずっと。

飽きないの?なんて質問はしないでね、飽きないからずっとメールしてるんだから。
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