ダンデライオン

・初めまして、ご主人様!



「申し訳ありません、たかが仮執事長がでしゃばりました」
「フン・・・。本当にそう思ってるのか?」
「ええ、勿論で御座います」

深く御辞儀をしながら、軽く溜息が出そうになるのを飲み込む。
本当に思っているかと訊かれると、答えは否だ。
思っている筈がない。
それでも、啓次郎様に忠誠を誓っているから、失礼なことは出来ない。

「坊ちゃん。こちらが坊ちゃんの新しい世話係です」
「や、山本佳奈です!宜しくお願い致します!」
「・・・へえ?アンタが新しい世話係、ねえ・・・」

頭のてっぺんから、足の爪先まで見定めるようにじろじろと見る坊ちゃん。
・・・そんな見方は不愉快にすると分かっている筈なのに。
目上の人にはしないほうが宜しいですよ、坊ちゃん。

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