俺様な彼氏

距離

夏休みが明けて早一週間が経とうとしている。


始業式以来、稜とは話していないあたし達。


「はぁ…」


いつも零れるため息。


どにいても目につくあたしの愛しの人。


それがため息の原因だったり…。


夏休み明けてから席替えが行われた。


別にそれだけなら問題ない。


ただ…相手に問題アリだ。


距離を置く…ハズなのに隣の席になってしまった。


まだあたしに妖艶な笑顔を向けている悪魔。


ねぇ…そろそろ解放してくれないかな?


あたしが勝手に作り上げたヤツに心の中で言ってみる。


もちろん━━━答えなど返ってこないが。


隣にいて、いつでも触れることのできる距離にいるのに…今のあたしには触れることが許されていない。


何度授業をサボろうと思ったことか………。


しかしあと少しに控えた体育祭があるからクラスのみんなは一致団結している。


こんな状況でサボることなんてできる…なんて思えないよ…。


渋々参加しているものの、視線の先には愛しい人の姿。


見るつもりはなくても無意識に探してしまう。


< 115 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop