アンダーハート・アタシが必死で愛した「アタシ」
「体にでる鬱もあるんだよ。」 開業医の戸田は、週に一度は「トワイライト」に来てくれる、ミナの指名のお客様だ。高級クラブで飲んだ後、ここでミナと飲むのが楽しみだという。 「え~っ先生、そうなんですかぁ。」 驚いた、という顔をしてミナコは答えた。 笑うときはおもっきり笑顔で、驚くときは思いっきり目を見開いて。 表情のバリエーションがホステスには大事なのだ。 決してわざとらしくなく、さりげなく。 さじかげんも大事。 「ミナ、体育会系だから体も強いし、クヨクヨ悩むほうじゃないんですけど。」 嘘でもあり本当でもあった。 たまに悩みはするが、そんなので体がダメに成る程ヤワじゃない。自分ではそう思っている。 「夜のお仕事はお酒も飲むし、夜遅くまで働くから自律神経を壊しやすいんだよ。一度心療内科にいってごらん。」 耳に痛い言葉だった。確かにミナコは売上をあげる為にビールやカクテル、時にはワインやシャンパンなど、毎日、まさにあびるように飲んでいた。
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