呪いのテディベア Ⅱ
音のしたほうを反射的にみる。
そこには一人の人らしきものがいた。
Yシャツ以外、
ネクタイも靴も何もかもが
真っ赤に染められた燕尾服を着て、
頭部には
歪んだ顔で笑った、
真っ赤な熊の着ぐるみが被せてあった。
所々、引きちぎられたようになってて、
中の綿がはみ出ていた。
正直、体格だけでしか
男の人と判別できなかった。
さっきの声も
この人のものとは限らないし。
訝しんでみていると、
目の前の男の人が声を発した。
「お嬢様」
その声はさっきと
まったくもって同じ声だった。