中年×少女
くちびる
「行彦さん」

 俺の名を紡ぐ小さな唇は薔薇色に輝き――それはそれは愛しかった。俺は戸惑う声色を漏らしたそこに舌を這わせた。――甘い、味がした。柑橘類の様な、酸味のある甘さがした。
 可愛らしい吐息を溢しながら、涙を浮かべながら、彼女は必死に俺の接吻を受け入れる。そんな彼女が愛しくてたまらず、俺は時折破壊衝動にかられる。――この純粋て穢れをしらない美少女を、無茶苦茶にしてしまいたい。犯したい。汚してしまいたい。俺だけのものにしたい。
「可愛い、可愛いよ」
唇を放し耳元で囁いてやれば、彼女顔は見事な真っ赤になり、いよいよ固く閉ざされた瞳からは涙が溢れる。その露を舌で掬いながら、俺は彼女のスカート内に利き手を侵入させた。心無し細い気もする太股を撫でながら、俺は手を彼女の下着に這わせる。布越しに突起をつつけば、彼女は圧し殺した様な声を漏らしながら、俺の身体にぎゅう、としがみついた。

「だめ、だめです……行彦さぁん………」

 駄目という彼女の拒絶が煽りにしか聞こえない辺り重症なのだろう。

「いや、だめ……ゆ、行彦さん……! 行彦さぁん……!」

 荒くなる息遣い、強くなる密着感、ビクビクと震える彼女――。
 下着越しに突起を擦ってるだけなのに、彼女はこんなになってしまうのだろうか。

「可愛いよ××ちゃん、大好きだよ」
「あっあっ、ゆ、行彦さん、行彦さん! 行彦さん!! 行彦さん……ッ!!」

絶頂。







「…………」

 パンツの不快感で目が覚めた。嫌な予感を感じながら下着の中を覗くと、そこには精子が散乱していた。大惨事とか年甲斐ないとかそんなレベルではなかった。

「………いい夢だったなあ」

 云十年振りの――懐かしささえ覚えるほどの、久しぶりすぎる夢精だった。
< 1 / 2 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop