僕らの宇宙戦艦奮闘記


「で、何の話だったんだ?吉田」


 めんどくさいから、佐倉ではなく、吉田に話を振ることにした。


「…斉藤は男好き」


 違うわ!


『発見時間の話。地球に衝突する隕石だって、もっと早くに発見できただろうって話だよ。今、佐倉と話してて…あ、違うよ。浮気じゃないよ。』


 誰とだよ?


 それと、顔赤らめるな!


「いいから、続けてくれ。」


「吉田と話をしていて分かったんだけど、もう半日早く発見できていたら、わざわざ、ミサイルや核なんて物騒なもん持ち出さなくても、人工衛星をぶつける程度の衝撃で、十分地球衝突は回避できただろうって話をしていたのよ。」


 なるほど。


 さすがは、物理専門家の二人なだけはあるな。


 その程度の隕石だとは思わなかったが、発見が遅すぎることについては、俺も思っていたことだ。


「Xポイントだろう?」


 おそらく、考えられる一番の可能性。


 Xポイント。


 それは地球の『死角』


 15年前まで、地球には死角はないと言われていた。


 数多くの天体観測場と衛星管理体制によって、地球から見える宇宙は、360度どこでも見渡せ、例え、隕石が接近しても、すぐに見つかるだろうといわれていた。


 しかし、それが覆されたのが15年前。


 戦艦ホムラ事件である。


 宇宙から飛来したこの艦の接近は、どの人工衛星もどの天体観測上も捉えることが出来なかったのだ。


 そのため、地球には、人間にはまだ見つけられない死角が存在するのだというのが、にわかに騒がれるようになった。


 それが通称『Xポイント』


 磁場の影響とか、太陽光線の影響だとか色々言われているが、詳しいことはまだ何も分かっていない。


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