冷酷系女子
あたしがそのまま靴を履き替えていると、男が近寄って来た。
「そーだ、ねぇねー
百合ちゃんメアド教えてよ~!はい、おれ受信ねっ」
「は?」
携帯電話の先をこちらに向けながら、男はにっこりと笑う。
「悪いけど、あなたに教える理由がない」
「うっわ、なにその言い方超ムカつく」
「せっかく颯が友達になってやるっつってんだから素直に教えろよ」
友達…?そんなの頼んでない。
なんなの、この人たち。
「はっ!確かに!!!」
イライラしている女の子たちとは違って、男は笑い出す
「百合ちゃんは教える理由ねーもんな!
でも、俺は教えたいから教えるわ」
そう言うと男は自分のカバンからペンを取り出して、ノートを一枚ちぎり、そこに自分の電話番号を書いた。
「はいっ、連絡待ってんね」
「……………」
たぶん、連絡なんてしないと思うけど。
黙っていると番号を書いた紙を無理やり握らされて、男は満足そうに去って行った。