死にたがり
午後の1時過ぎに、インターホンが鳴った。
さっさと宿題を見てしまおう。
そんな気持ちでドアノブをつかんだ。
中野「上条君、今日大丈夫だった?」
上条「ああ、たまたまその用事が中止になってな。」
中野「良かった。んじゃ、おじゃましまーす」
リビングには冷たい麦茶と氷の入ったコップが2つ。
コップに麦茶を注いでやると、中野の前に差し出した。
上条「んで・・・宿題はどんな感じだ?」
中野「えーっとね・・・テキストとかは答え合わせも終わってるんだ。
問題なのは自由研究と作文ね。
ちょっと目を通してくれればいいから。」
中野は、バックに入れてきたレポート用紙と作文用紙をテーブルに置いた。
上条「どれどれ・・・」
その2つを手にとりながら、長々と見つめていた。
すると、不意に中野が話しかけてきた。
中野「・・・上条君。もし、迷惑だったら謝るんだけど・・・
私のこと、嫌い?」
上条「・・・何で?」
中野「この前遊びに来たときの帰り、何かもう話したくないような態度とってたじゃん。
アレって・・・来たのが迷惑だったからなの?」
上条「・・・」
中野「私ね・・・中学校に入ってから、上条君と会えなかったのが寂しかったの。
部活も出来ればしたくなかったけど、友達の誘いに断れなくて・・・。
だから、夏休みに良い言い訳を考えて遊びにきたの。」
これは・・・自分に好意を抱いているということなのだろうか。
自分は、中野を幼馴染で近所の友達だとしか思っていなかったのだが。
中野「久しぶりに会えて、うれしくて、ちょっとはしゃぎ過ぎちゃったかもしれない。
それで、上条君がうざいって思っていたのかと思って・・・
そんな風に思われたくなかったから、誤解を解きたかったの。」
上条「これは、俺はどう捕らえればいいのだろうか。」
中野「えっ・・・?」
上条「俺は、どう見ても中野が俺に告ったとしか思えないのだが。」
中野は顔を真っ赤に染めて、小さな声でこう言った。
中野「・・・あのっ・・・そのぉ・・・はっ、はい・・・そういう事です・・・。」
さて、どうしようか。
困ったことになったぞ。
