君を知ったその日から
act.1



4月7日、入学式。

絵里は指定された時間よりも早く家を出て、これから通うことになる高校へと向かった。ちなみに、愛子は一緒ではない。家だって近いし親友だけど、たまには別々の時もあるのだから。



今、絵里の歩いているところには、桜並木が続いている。薄いピンク色の花びらが風で舞っていて、キャラではないのだけど綺麗だと素直に思った。


「うはーっ、めっちゃ綺麗!!」


満面の笑みを浮かべながら、独り言にしては大きな声で絵里は言った。
それから、気付いた。目の前に人がいることに。目の前にいるのだからもっと早く気付くものなのだろうけど、キョロキョロと見渡しながら歩いていたのだから気付くはずもない。

目の前にいる人は立ち止まって、振り向いた。その人は、驚いて振り向いたみたいだ。


バチリと、目が合う。

ドキリと胸が鳴った気がした。


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