君を知ったその日から



短めの黒い髪。スラリと伸びる身長、手足。

それから、お洒落な眼鏡。


この人が、愛子が一目惚れした(勝手に決めつけている)人なのだろうかと、頭の片隅で思った。
愛子の言っていた人物に、バッチリ当て嵌まっている。


「え、えーっと…」


何故、この人は立ち止まってくれたのだろう。それから、何かを話さないといけないだろうなと思い、視線が宙に浮く。


「…新入生ですか?」


絵里が目を泳がせていると、目の前にいる人がそう訊いた。


「あ、はい」

「そうですよね。…俺もなんです」


男の子の言葉に、胸を撫で下ろすとともに少し驚いてしまった。なんとなく年上なのかと思っていたから。
でも、よく考えると今日は新入生しか来ないはず…同い年だと知って、なんとなく安心した。


「学校まで一緒に行きませんか?」

「あ、はい!!あの、敬語じゃなくてもいいですよ?」

「…じゃ、そっちも敬語じゃなくていいよ?」


お互いそう言って、笑った。


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