アイ・マイ上司とlove★battle
オフィス・ラブの利点も不利点も、輝と付き合ってソレなりに分かってた。
そんな根拠のナイ自信は、無知なクセに知ったかぶりをしていた証拠なの…?
「えぇ、ですので残存簿価が…」
「そういう事、か…」
課長と対等に話す笹森さんは、色気だけじゃなく仕事も有能らしい。
「あ、佐々木さんごめんなさいね。
戻ってもう一度訂正して来て良いわよ」
「…はい、失礼します…」
すると話を一旦ストップさせた彼女が、私の提出資料を差し戻して来て。
至近距離に迫っていた課長と目も合わせられずに、一礼をしてその場を離れた。
「今年度から見直すべきでは?」
「あぁ、部長と要相談だな――」
席へ向かう途中にも聞こえてくる議論の声は、別次元すぎて何も分からないし。
部内の女子社員だって同じみたい…、課長にベッタリでも素知らぬ顔をしてる…。
「・・・っ」
あの場で1人浮いてしまった自分が、悲しくて、苦しくて、惨めだよ・・・
重い足取りでデスクへと戻れば、涼子が心配そうな面持ちをしていたけど。
大丈夫!と上手く笑い返せないくらい、曖昧な彼の考えが分かんないよ…――