アイ・マイ上司とlove★battle


私が怒られるのは当然だし反省してる…けど、さっきのはあまりに酷すぎるから。



「…本当に、すみませんでした…、けど――」



「笹森さん、今の発言は撤回して下さい」


「・・・っ」


謝罪の為に頭を下げながらも、グッと握ってしまった拳に力を籠めていた時。



私の言葉に被せるように淡々と発せられた意見に驚き、バッと顔を上げてしまう。



「…あら塚原さん、どういう意味?」


すると近隣に位置する涼子が無表情で席を立ち、訝しげな視線を彼女に向けた。



独特のPC音が響くオフィスが、2人の放つ空気からかシンと静まり返ってしまう…。



「大変失礼だと承知のうえで、言わせて頂きます。

確かに斉藤さんはミスを犯しましたし、彼女は反省すべき点は多々あります。

しかし、先ほどのは注意を逸脱していると思いますが?」


「へぇ…、仕事に私情を持ち込むつもり?」


「あくまで私は、第三者として意見を述べたまでです」


涼子の淡々としながらも引かない姿勢に、眉根を寄せて不機嫌オーラ全開の彼女。


「りょ、涼子…」


「鈴は黙ってて」


仮にも上司へ冷視線を送る涼子を、取り敢えずは牽制しようと呼び止めたけども。



何というタイミングの悪さだろう…、この時間に限って課長と部長は会議に出席中。



いや…、きっと“輝がイナイ”時を見計らって、笹森さんは攻撃しに来ているから。



いつもはニュートラルな涼子なのに…、矛先が別へと向きそうな予感がしてならない。



< 46 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop