アイ・マイ上司とlove★battle
私が怒られるのは当然だし反省してる…けど、さっきのはあまりに酷すぎるから。
「…本当に、すみませんでした…、けど――」
「笹森さん、今の発言は撤回して下さい」
「・・・っ」
謝罪の為に頭を下げながらも、グッと握ってしまった拳に力を籠めていた時。
私の言葉に被せるように淡々と発せられた意見に驚き、バッと顔を上げてしまう。
「…あら塚原さん、どういう意味?」
すると近隣に位置する涼子が無表情で席を立ち、訝しげな視線を彼女に向けた。
独特のPC音が響くオフィスが、2人の放つ空気からかシンと静まり返ってしまう…。
「大変失礼だと承知のうえで、言わせて頂きます。
確かに斉藤さんはミスを犯しましたし、彼女は反省すべき点は多々あります。
しかし、先ほどのは注意を逸脱していると思いますが?」
「へぇ…、仕事に私情を持ち込むつもり?」
「あくまで私は、第三者として意見を述べたまでです」
涼子の淡々としながらも引かない姿勢に、眉根を寄せて不機嫌オーラ全開の彼女。
「りょ、涼子…」
「鈴は黙ってて」
仮にも上司へ冷視線を送る涼子を、取り敢えずは牽制しようと呼び止めたけども。
何というタイミングの悪さだろう…、この時間に限って課長と部長は会議に出席中。
いや…、きっと“輝がイナイ”時を見計らって、笹森さんは攻撃しに来ているから。
いつもはニュートラルな涼子なのに…、矛先が別へと向きそうな予感がしてならない。