アイ・マイ上司とlove★battle
私は目が合った瞬間、ドキンと小うるさいくらいに鳴り続ける鼓動が悔しいのに。
「課長…、そうじゃないんですか?」
「・・・何故、塚原さんはそう思う?」
輝の眼は何かを秘めているように見えたから、今度はギュッと胸が苦しくなって。
「それなら何故、私が経理部に配属されたか知りませんか?
縁故採用の事は勿論、兄から聞いてご存じでしょうが…」
「…横領事件がキッカケ――と思うが?」
淡々と求められた答えを返す輝に頷き、ふぅ…と諦め半分の溜め息を漏らす涼子。
「はい、仰るとおりです。
私は税理士を目指していた分、大学時代にあった会社の事件を正直言って呆れました。
どうして誰も気づかないまま、前課長は横領が出来ていたのかと…。
だから税理士の資格取得を目指しながら、兄の会社に入る事に決めたんですよ。
身内だってバレれば仕事もやり辛いから、敢えて秘密にしていましたけども。
こういう事態に陥った時が、バレても良いタイミングじゃないかと…」
「涼子…、オマエ」
「頼りない父や兄だと、財務管理まで出来ないでしょ?」
「ありがとう…」
「当たり前よ…、お兄ちゃんが苦労して立ち上げたの見て来たからね。
あの成金エロオヤジの事は、正直言ってどうでも良いけど」
涼子の発言がよほど嬉しかったのか、兄である社長は顔を綻ばせているけども。
彼女と私は同い年だというのに、どうしてこうも違うのかを知らされた気分だ。