素敵な片思い
「…杉浦くん。私、先会社行くから。じゃあね」


リビングに戻り、カバンを掴む。


…そうだ。昨日と同じ服じゃ問題だよね。でもまぁ、しょうがないか。


杉浦くんに服借りたら、また返したりとややこしいし。


葉月さんに突っ込まれたら、友達の家に泊まったとか言えばいっかぁ。


あ~、疲れたっ。


ガチャンと扉を開け、マンションを出る。


会社までは定期があるし、お昼は葉月さんたちに返してもらったお金で食べれるし…。よし。何とかなりそう。


マンションの通路を歩いていると、進行方向にある一室の扉が、ガチャと開いた。


「あ~、ヤベ。直行なん、忘れとったわ」


独り言を言いながら、鍵を閉めているスーツ姿の男性が…


目の前で、関西弁を喋っていた。


…え。


思考も、カラダもフリーズ。


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