薔薇の眷属
「あんた、よく呼び寄せるでしょ」
俺を宴会場の隅っこに強引に連れて行き、男はニヤニヤ笑いを浮かべている。

彼は「ガク」と名乗った。
本名は「まなぶ」らしいが、あまり気に入らないので親しい人間には本名では呼ばせないようにしていると言っていた。

いきなりあんたよばわりは正直イラッときたのだが、ガクも一浪でこの大学に入ったという共通項に免じてこの時は不問とした。
ガクは県内生で、実家から大学が車で二時間と離れているため、一人暮らしをしているという。
「長い付き合いの友達がうちの大学にいるんだよね」
県内生の比較的多い学校だからなのだろう。

「その人のサークルに入ろうと思ってんだけど、どう?一緒に」
急な誘いに戸惑った。
しかしせっかくの大学生活だ。新しいことに手を出すのも悪くない。
「何のサークルなんだ?」
俺の問いにガクの表情筋が再び気味悪く歪んだ。


「オカルト研究部」
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