起点

朝、目を覚まし台所に行くと

母が朝食の準備をしていた。



いつ帰ってきたのだろう。



そんな疑問もいつの日からか消えていた。

『おはよう。』

「あら、柚花。早いのね。おはよう。」


無言で椅子に座り、朝食を済ませた。

「今日は遅くなるの?」

『…友達と遊んでくる。』

「そう…。」


心なしか、母が喜んだように見えた。

「お母さんも遅くなりそうだから…。」

そういって、母が財布を取りに行こうとした。

『いや、お金はいいよ。昨日のがあるから。』

「そう?…気をつけてね。」



『…いってきます。』
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