ダイヤモンド・ヒーロー




二人っきりになってしまった。

“共通の話題” というものがあたしたちの間には存在せず。


「じゃあ、咲良ちゃん。 練習、見に行こうか。 たぶん……」


“たぶん……”

この続きは何?

途中で話が切れたので、気になって大さんを見上げた。



「たぶん……。 “湊人”も練習してっから―――」


――― 湊人が練習している。


この3年間。 湊人に会う事は1度も無かった。

会いたかったけど……。 会わなかった。


なのに、そんな今。


「湊人に会えるんですか?」


「あぁ、今頃バットを振っていると思う」


そっか、そうなんだ。

湊人は今、バッティング練習中か。


「湊人、元気ですか?」


「毎日頑張って練習している。

――― “約束”を守るために」




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