ダイヤモンド・ヒーロー
* * *
まだ、子供だったあの頃を思い出し、自然と顔が緩む。
「湊人?」
「いや…… 何もねーよっ」
今年も咲良の誕生日は“夏休み”
どーせっ、誰にも“おめでとう”って直接言われていないんだろうな。
ノリを付け、封筒を閉じた。
あとはこれを、ポストに入れれば終わりだ。
「ちょい、俺。 食堂に行ってくるわ」
「おー、ちゃんと出してもらえよっ」
寮生活の俺らにとって、荷物の管理は全て食堂のおばちゃんがやってくれている。
「すいませーんっ」
「――― はーいっ」