ダイヤモンド・ヒーロー
ひたすら前に向かって投げるしかない……。
そう分かっている。 …… 分かっているのに……。
――― カキーン。
俺の投げる球はほとんど、俺の後ろに飛んでいく。
俺は登板して、一体何人のヤツに打たれた?
ストライク以外も投げてるってのに……。
どうしてだよっ! ちくしょー。
なんのためにこの3年間やってきたと思っているんだ。
甲子園に行くためにやってきたのに……。
「負けて、たまっかよ……」
こんな所で終わらせやしない。
「…… !」
大が審判と何か話して、俺に近づいてきた。
どうやら…… タイムを取ったみたいだ。