ダイヤモンド・ヒーロー

不器用なヤツ





着替えを終えて、俺は自転車置場には行かず……。


「せんせー“これ”、提出しに来ました」


被服室にやってきた。


「相原くん……。 あぁ、エプロンね」


1学期に作ったエプロンを夏休み前に提出し忘れたので、今提出しに来た。



「???」


今って“一応”夏休み…… だよな。

どうして制服を着たヤツが被服でガタカダとミシンを動かしているんだ?

縫っているのを見ると…… エプロンみたいだが。



「先生、あいつって……」


コッソリ窓際の端の方に座る“アイツ”を指差す。

見た感じは俺と同い年っぽいから、中2くらいか?



「あの子はちょっと遅れている子だから、夏休みに来てやっているの」


ふーん。 そんなヤツがいるんかよ。

エプロンなんて、数時間あったら出来るだろ?

どうせ、授業中だって喋ったりしていて進まなかったんだろう。




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