ダイヤモンド・ヒーロー




三嶋との戦いは嫌いじゃない。

1年振りの再会だが、コイツの立ち振る舞いで、コイツがどれだけ今日に賭けてきたかわかるから。

俺は手を抜かない。


2球、見送ったのも俺がどう投げるか想定して見送っているはずだ。


コイツは馬鹿じゃない。


決勝戦で当たりそうな俺のピッチを研究していない――― なんて、有り得ない。

何回も録画したビデオを見て、俺を研究に研究を重ねて来ているはずだ。


でも、コイツ…… 三嶋は2球。 打たず、見送った。

見送った…… と、言うことは。


「一本勝負ねー……」


ラスト一球を決めよう――― って考えなんだろう。


お互い疲れは同じ程度だ。

ここまで来たら、自分自身に負けた方が“甲子園”を諦めることになる。


三嶋―――。

俺は最後まで諦めねーからな。




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