ダイヤモンド・ヒーロー
「ついに卒業したなー」
「そうだね」
あたしは…… 湊人と付き合いはじめてから、毎日湊人が野球をしている姿を見てきた。
泥まみれになりながらも、走りつづけた姿。
息を荒くしてボールを投げる姿。
誰よりも多く、湊人を見てきた。
だからこそ。
「ねえ、湊人」
「ん、どうした?」
「湊人の将来の夢って何?」
マウンドを見つめながら言った。
湊人の夢だ。 野球の事に決まっている。
「甲子園のマウンドに立つこと―――」
ほらね。 湊人には野球が大切なの。
それはあたしも分かっている事。
“甲子園のマウンドに立つ”
これは、湊人が付き合いはじめた当初から、言っていた事でもある。