ダイヤモンド・ヒーロー
「ねえ、湊人。
あたしたち――― 別れよう」
ザザザーと冷たい風が吹いた。
「咲良?」
驚いた声を湊人が上げた。
「湊人の夢は“甲子園のマウンド立つ”事でしょ。
その為に“全寮制”の朝日学園に通うんでしょ?」
「…… そうだな」
――― 朝日学園。
県内でも、トップクラスの高校。
普通科と体育科があって、湊人は体育科に進学が決まっている。
もちろん、共学校だけど。
あたしは、朝日学園には進学しない。
――― 咲坂女学園。
朝日学園に負けないような高校だけど、朝日学園より偏差値が低い高校。
4月から、あたしと湊人は別の高校に通うことになる。
「どうして別れるんだ? ――― 別れる必要があるのか?」
――― 湊人のバカッ。