浮気女の嫁入り大作戦
「ありがと」
「おう」
改札を抜け、これから二人はそれぞれ別のホームへと降りる。
これが最後のチャンスである。
俺が死んで65年。
往生際悪く花枝を求め続けるのも、これで終わりだ。
奈緒と沢田が別れの挨拶を交わす前に、俺は声を出した。
「花ちゃん」
花枝はこちらを向き、ふと微笑む。
「今度こそ、さようなら」
手を振って見せると、花枝は小さく首を振った。
縦に振ったのではない。
横に振ったのだ。
俺はしばらく、その意味がわからなかった。
「沢田くん。色々ありがとね」
二人が最後の言葉を交わし始める。
「もう会わないと思うけど、元気でね。会社のみんなにもよろしく言っといて」
「ああ……わかった」
沢田はキュッとネックレスを握った。
「……2番線に電車が参ります……」