素直にカエル3 ~先生と卒業式~



1日目の見学を終え、バスに乗り込む


みんな結構衝撃を受けたらしく、静かだった



私もずっと心がモヤモヤしたままだった




今日行ってみて、新たな発見がたくさんあった



テレビや教科書でみただけではわからなかったガマの暗さや狭さ



あんな中にずっといなきゃいけない苦痛と、外から聞こえる銃声や爆弾の音による恐怖



65年前に同じところにいた人はどんな思いだったのかを考えただけで、体がぞくぞくと震えた




「南?大丈夫?」


「うん…。なんとか」



あゆみは心配そうに飴を取り出し、私の掌に乗せた



「あたしも初めてで不安だったけど、今日行けてすごくよかったなって思った」



あゆみは小さな声でそっと話す


理奈は寝ているのか、窓の外を見ていた


「最初は怖かったけど、終わってみると、たくさん勉強になったなって思う。体験できてよかった」


「そうだね。なかなか自分達だけでは行きにくいよね…」



あ…


そういえば、先生もそんなようなこと言ってたっけ



『行きたくても行けなかった』って



知らなきゃいけない



でも、意外と知らない





私は今日、大切な時間を学んだのだった





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