憎悪の視線
 結局、占い師はそれ以上詳しいことは云わなかったが、帰り際に「くれぐれも気をつけなさいよ」としわがれた声で云った。


「ごめんね広子。私が気分転換に、なんて誘ったから……」


「百合子のせいじゃないって、占いが当たるんだったら私が気をつければ良いだけじゃない」


 あまりにも百合子が落ち込んでしまったので、逆に私が百合子を励ますことになった。

 それにしても、邪悪な悪魔って何だろう。誰かに見られているのはやっぱり気のせいなんかじゃなかったのね。私はそう思うと溜息を吐いた。

 すっかり太陽は沈み、夜という闇の時間帯が余計私に不安を与える。

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