キミが居た病院

 おばちゃんはきょとんとしていたが、すぐに笑顔で答えた。

「さっき電話があってね、先に採用された仕事をしたいから辞退させてくれってさ!」

 呆れた顔をしながらおばちゃんは続ける。

「それなら前もって言ってくれればいいのにねぇ。何も今日じゃなくったって……」


 聞かなければ良かった。

 ――素直にそう思った。

 これからあの部屋に戻り、一人でご飯を食べ、暗い夜を過ごさなくてならないのに。


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