マスカラ〜年下男子の甘い秘密〜[完]
『…』
蓮を見つめたまま何も言わない私にふっと笑顔になって

「ごめん…」
とまた歩き出した

何焦ってるんだろ…って言う蓮の小さすぎる声は風に消されて私には届かなかった

『なに…?』
途切れとぎれに聞こえた蓮の声に聞き返す

「ううん、あの写真は…片付けた方がいいんじゃない?」
肩を上げながら蓮が振り返る

『わかってる…あれは未練とかそんなんじゃなくって…』
「なくって?」
前を向いて歩きながらでも歩幅をちゃんと気にしてくれているのがわかる


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