ただ あなただけ・・・
会議室に着くと同時にチャイムが鳴った。
(休憩の時間だ・・・早く行かないと――)
机に書類を置くと、ドアが開いた。振り返ってみると、聡志が立っていた。
「・・・ここに置いておきます」
そう言うと、私は部屋を出ようとした。彼の顔を見ると、思わず足が止まった。何かを言いたそうにしている。
しばらく沈黙が続く。
「妃奈――」
「聡志さ〜ん?どこにいるのぉ??」
廊下から声が聞こえる。
――彼女だ――
「失礼します」
私は一礼して部屋を出た。