ただ あなただけ・・・
正面にいたみちるを見ると、何とも気まずそうな顔をしている。後ろを振り向くと、聡志・・・いや、主任が立っていた。
「若葉、この書類を第二会議室に持って行ってくれ」
主任はそう言うと私に書類の束を渡し、自分のディスクに戻って行った。
「藍沢主任って未練がましいの?」
突然みちるが言った。
「・・・さぁ?知らない。先にコレ置いてくるから――お昼先に行ってて」
私は廊下に出て会議室に急いだ。