ただ あなただけ・・・
「さっきまで騒いでいたのは『彼女』の事でしょう?」
鉄二は目ざとく、切り抜きを拾って見せた。
「・・・・・お前だろう?その店紹介したの」
俺は鉄二から切り抜きを受け取り、もう一度読み返す。
「・・・・・・いやぁ。若がホントウのデートをするとは、鉄二は嬉しいです。」
・・・・・・コイツ・・・本当に嬉しがっているのか?ただ単に面白がってるだけだろ・・・・。
「・・・・妃奈が喜べば良いんだよ」
ぽつりと呟く。
鉄二はニヤニヤしながら失礼します、と言って部屋を出た。
やっと1人になった俺は煙草に火をつけ、書類の山を片づけていった。