結局誰よりキミが好き

「とりあえず立って?」

私は伊織の手を握って

ゆっくりと立ち上がった

「帰ろう?」

私は泣きながら頷いた

帰ってる間に長い沈黙が流れる

私は涙で化粧が崩れたから

電車の中で直していた

少し距離の空いた席

まるで私と伊織の仲のようだった

「綾、結局どうすんの?」

「私・・・どうしたらいいんだろう・・・」

私の言葉に伊織はまたため息をついた

「だから、スキじゃないとキスなんて
 しないから
 早く想いを伝えなさいよ」

伊織は私の頭に手をおいて

優しくなでてくれた

「伊織・・・私のことキライ?」

「・・・そんなわけないじゃん」

伊織の言葉に胸が安らいだ

「ありがとう」

嫌われてなかったんだ

こんな伊織が大好きだった

「まあ私からはそれくらいしかいえないから
 出来るだけ相談には乗るから・・・
 結果は綾がどれくらいできるかだよ?」

「そうだよね・・・ありがとう」

もう伊織に迷惑をかけたくない

私は決意した

「私、頑張る」

伊織は硬い顔からいつもの柔らかい笑顔に変わった

「綾、頑張ってね!
 振られたら私のぺちゃんこの胸で泣きなさい!」

伊織の笑顔に私もつられて笑顔になった

その時電車は終点に着き

私達はわかれた




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