この美しき世界で
「だから、死ぬことは許さない。」


瞬間、戦士は五体の中心に風穴を開ける。花火のように飛び散った赤がセロの体に振りかかる。


「……!」


再び魔人の魔力が空を走り、吹き荒れる暴風。


「――――。」


詠唱される呪文。呪文の理解は出来ないが最後の言葉だけはよくわかった。


「さぁ少し長くなりましたが、一旦幕引きといたしましょうか。」


それは終わりを告げる言葉。太陽を遮り空を覆った大きな闇。


「燃やし尽しなさい。」


蒼い、ドラゴンだった。天空の支配者。巨大な翼に絶望を乗せて。


紅連の炎とそれを吐き出した。


地獄の戦士と共に、仲間は炎に飲み込まれていった。もう悲鳴は、聞こえなかった。


「―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!」





気が付けば彼は草原に倒れていた。焼け焦げた臭いが、やたらと鼻についた。


それから彼はひとしきり叫び、喉から血を吐き出した後、泣いた。


滲む視界に広がっていたのは仲間達の屍と、焼け落ちていく故郷だった。


『1、始まりの戦い。完。』

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