SOUND・BOND
それとも――
(だだの変わり者グループか……?)
まだ疑いの目を向けながら、訝しく思う陸燈はほんの僅か油断をしていた。
「それじゃあ真空ちゃん、デザートでも食べに行こうか」
いつの間にか妹の手を引いて秋司が歩道の方へ歩き出していた。
「おい!」
「そうだね~♪僕はあんみつが食べたいな~」
陸燈の慌てる態度には目もくれずに、真空をつれた秋司と、口に指を当ててデザートの名前を呟く光はすたすたと歩を進める。
なんて堂々とした誘拐犯だ。
保護者が目の前に居るというのに、子どもを食べ物で誘惑し、友達宜しく、手を繋いで連れ出すとは――!
その上、何故だか知らないが、真空は上機嫌でついて行く始末。
「お前らなあ!」
最早敬語など使うに値しない。
「まあまあ陸燈、少し話ししようよ。雨も酷くなってきたことだしさ」
さっきよりも雨の粒が大きくなっている。
肩に手を置かれて陸燈は振り向く。
そこには、何を企んでいるのか、薫季の意味深な笑みがあった。
しかもいきなり呼び捨て……。
彼を見据えて、陸燈は大きな溜め息を漏らす。
最早、なぜ自分の名前を知っているのかという飽きの来た疑問は持つまい。
「真空ちゃんの言うとおり、俺たちは怪しい者じゃないよ」
いや、今とっても怪しいものを目撃しているのですが、と先を歩く3人に目を向ける。