SOUND・BOND


まじかに冷たいコンクリートが迫る。
 

誰かの足が視界の上の方にあったが、それは後ろへ下がる感じで視界から消えていく。
 
明らかに周りが自分を避ける。


(もう、ダメッ……)
 

真空はぎゅっと目を閉じ、自分の運の無さを呪った。
 
冷たく硬いコンクリートが顔面を打つ――はずだった。


「んぷっ」
 

思いに反して、柔らかく暖かい生地が顔に触れた。その弾みに息が突いて漏れた。


「あっぶなっ」

(え……?)
 

頭のすぐ上から声がした。
 
それはとても優しくて、言葉は少し焦ってはいたが柔らかい、男の人の声。
 
この時真空はようやく自分の体勢に気付いた。
 
両足とも投げ出し、勢い良く倒れた拍子に手は突然前を塞いだものにぎゅっとしがみ付いた状態。

体は暖かい腕に抱え込まれていた。

〝トクン…トクン…〟
 
急に耳に伝わってきたこの音が、最初は自分のものだと思い、なんとなく焦る真空。しかし、冷静になってきた頭が違うと告げた。


(この人の胸から……)

「大丈夫?」
 

再び掛けられた言葉に、真空はようやく顔を上げた。
 
その言葉にではなく、心地よく落ち着いた声に反応したのだ。

兄より少し年上だろうか。外見が声の感じと少しイメージが違ったことにちょっぴり驚いた。

少しきつい感じの目だけれど綺麗で印象的だと思う。


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