別れ屋
「そうよ!何か悪い?」
愛華に負けじと自分を優位に回そうとする加奈
「ふーん。拓也くんのこと、早紀さんを騙そうとしてまで好きなんだ。だから悪口言ったんだ」
「そ…そうよ!同じことばかり言わせてるんじゃねーよ!」
加奈の言っていた事実をまるで誰かに言い聞かすかのように繰り返し聞く
まるで誰かに言い聞かすかのように
その異変に気づいたのか辺りをそっと見回しながら言う
「…だってさ、拓也くん」
だが、もう遅かった
扉の前で待機している拓也が姿を現す
「えっ…」
開きっぱなしの扉を丁寧に閉めて愛華たちの元へと近づく
「嘘っ…嘘でしょ!?」
「お前…早紀があんなことするわけねーって思って怪しくは思ってたが…まさかそんなんだとは思わなかったわ」
冷たくそう言い放つ拓也
「ち 違う 違うのよ!これは…」
「…言いたいことはそれだけか?」
「えっ」
「もう俺に近づくな。迷惑だ」
拓也の信じられない言葉に開いた口は閉まらず、目を点にして言い訳を繰り返そうとした。
「園原…このこと教えてようとしてくれてサンキューな。おかげで誤解も解けた。」
そう言って早紀に視線をうつす
「悪い…この前俺があげたブレスレッド…踏みにじって捨てたって聞いて俺のこと嫌いなんだって思ってな、今まで無視してばっかだったな」
「そ、そんなことないよっ!拓也は何も悪くない!それに私…ずっとつけてるよ、拓也からもらった銀のぶれすれっど」
優しく微笑んで手の甲まであった服の袖をずらし、腕につけているそれを見せ付ける早紀。
「つけてくれてたのか…!」
「うん、だってこれもらったとき、すごく嬉しかったもの」
頬をほんのり赤く染めて頷く早紀
「ま、これで一件落着ってわけか?」
それをよそ目にそうつぶやく愛華
比亞も驚きの連続でついていくのに精一杯のようだった
加奈はその場で立ち尽くし、もう先ほどまでの勢いもなく二人をじっと見ていた