別れ屋


「拓也のあんな笑う顔見たことない…なんで?なんで私じゃ駄目なの!?あんな女より私の方が何倍も可愛いし、何倍も得するはずなのに…っ!」


加奈は地面に拳を叩きつけてそう叫んだ。

―いつもいつも早紀ばかり…!

「相手を不快にさせると思われている自己の側面…態度と性格と嫌な表情。」


それに愛華は上から加奈を見下ろしながら言い聞かす

「あんたはそろそろ自分に自覚を持った方がいいんじゃないかしら」

「…!」

それを遠くからただただ比亞は見守ることしかできなかった











そしてあの後

「お、覚えてなさいよ!!」

と目には涙を浮かばせながら加奈は走り去っていった

太陽が赤くなり、町全体を赤くそめる夕焼け頃


「帰るか」


拓也はそう言い愛華の方へ向き直った

「もう一度言わせてくれ。ありがとな」

「ま、そういう仕事だしね」

そして愛華が最後まで言い終えたのを聞くと同時に比亞へと向きを変える

「浅原も…協力してくれてサンキューな!超感謝してる」

「い、いえ!!そんな…私の方こそ黙ってて…」

下に俯いて自分のしたことを思い出す


「本当に…ごめんなさい」

「何誤ってんだよ。今こうして手伝ってくれたんだから、いいじゃねーか」


ニッと笑い、比亞を安心させようとする


「!…うん、ありがとう、」

遠慮したように笑って感謝の言葉を紡ぎだす



そんな中加奈が愛華の方へ近寄って来た


「別れ屋さん、ありがとう…これでもう迷いはなくなりました。」





「私を、破壊してください」




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