別れ屋
「は…?」
「え…」
突然の加奈の言葉に拓也と比亞が思わずどもって振り返る
「何のこと…?」
「知ってます、私。別れ屋に依頼するには金と誰か壊す人が必要だって…でも、私壊せる人なんていないんです、皆大切なんです!だから…」
目に涙をぽたぽたとたらす
地面は食い尽くされたように垂れた場所だけ濃くにじむ
「そ、そんな…っ!!」
拓也がなんとか反論しようとするが
「え、嫌だよ面倒くさい」
その必要もなかった。
愛華が耳の穴をほじりながらそう言い捨てる
「でも、」
「それにあんたが言ってるのは勘違いしてる。別れ屋が必要なのは金と誰かの"関係"を壊すこと。」
「!」
早紀に対する営業スマイルと敬語はなくなっていた
「ま、それも面倒だからしないけど。」
耳の穴から小指を抜き出し、口元に近づけて息を吹きかける
「え、でもしないといけないんでしょ?」
「そんな訳ないない。だったら私絶対別れ屋なんかに入ってないし。別にどっちでもいいんだよね、それ。ただそれじゃ不公平だってやる奴の方が多いけど」
軽々と吐き捨てる愛華に早紀はどうすればいいか分からなくなっていた
「ま、その代わりと言っちゃなんだけど、」
愛華は目線を早紀に戻して言いかけた。