純愛ワルツ
暫く無言で歩いていると

またポロポロ涙が溢れてきた。




「なんで泣くの?…俺のせい、か。…どうしたら胡桃を不安にさせないで済む?胡桃は俺にどうして欲しい?」




茜くん…。





「天音のこと?」




そうです。


なんて言えるワケないよ。






「…俺は先輩と天音をくっつける為にこれからもこうやって遊ぶだろうし、大学の講義も全部一緒だから天音と会わないなんて無理だよ。…それも不安要素になってるのか?」




…それは私も分かってるよ。


天音さんと一瞬でも会うなって言う方が無理だもん。





「…ちょっと俺達、一気に近付き過ぎたのかもしれないね」


「…え?」


「もう少しお互いの事を知ってから付き合えば良かったんだ」




さっきまで無音だった周りの声が


ザァッと耳に入ってきた。






「…少し距離を置こうか」


「それはどういう意味ですか?」


「別れよう」




茜くんはそう言って目の前から消えた。
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