純愛ワルツ
俺だってヘコむさ。


初めて本気になった相手に

まるで気持ちが伝わってないんだもんなぁ…。





「…なんで俺の気持ち、伝わらないんだろう…」




原因は天音?


でもちゃんとフッたし

胡桃もそれを知ってる。




なのに不安ってなんだよ…。





「茜くん」




カウンターの隅で唸っていると、名前を呼ばれた。





「…―っくるみ!?」




すかさず振り向くと

そこには、なっちゃんの彼女がいた。





「ごめんなさい、胡桃ちゃんじゃなくて」


「…お義姉様」


「あはは!お義姉様だなんて…私、まだ棗と結婚してないよ?」




お義姉様はふわっと笑った。


何故かその表情に胡桃が重なる。





「棗に茜くんがここで働いている事を聞いて…」


「今日はもうお仕事終わられたんスか?」


「うん。幼稚園は終わるの早いから。…とりあえず、アイスコーヒーをお願いしようかな」


「はい、喜んで」




注文された珈琲をカップに淹れていると、お義姉様の視線を感じた。




「そんなに見つめられたら俺、なっちゃんに殺されちゃいますよ」



お義姉様はハッと目を開くと、恥ずかしそうに微笑んだ。



いや〜

本当、いい女だな。



胡桃と同じ雰囲気のホワホワ美人って感じで。



シスコンなっちゃんがベタ惚れするワケだ。
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