純愛ワルツ
「ねぇ、茜くん」


「はい?」


「今日バイト終わったら、私と一緒に胡桃ちゃんに会いに行かない?」




お義姉様の言葉に

持っていたソーサーを落としそうになった。





「棗から聞いたんだけど、胡桃ちゃん…寝込んでるみたいなんだ」


「え?寝込んでる?」


「私もよくは分からないんだけど…茜くんと胡桃ちゃん、喧嘩しちゃったんでしょ?棗が胡桃ちゃんから聞いたって言ってて…。だからお見舞いに行ってあげない?」




喧嘩…ではないんだけどな。


でも、そんなに弱るほど傷付けたのは俺だ。



ここは行くべきだよね…?






「棗は私がどうにかするから大丈夫だよ」


「…ありがとうございます」


「バイトは何時まで?」


「20時です。あと3時間スね」


「分かった。じゃあ私、席について待ってるから」




そう言ってお義姉様が席に向かおうとすると


吉澤先輩がやって来た。





「柏木、お前はもう上がれ。今日は客も少ねぇし俺一人で大丈夫だ」


「先輩…」


「ちゃちゃっと仲直りしていつもの変態に戻れ。俺まで調子狂うだろ」




バコッと背中に喝を入れられた。


いてーよ、マジで。




でも…



「先輩、アンタキモいしロン毛だしうるせぇけど、めっちゃいい男っスよ!それを天音も分かってるよ」


「何だ、そりゃ。褒められてんのか貶されてんか分かんねぇよ」


「両方です!」


「死ね、柏木」




吉澤先輩を拝み倒してから

急いで私服に着替え


お義姉様と胡桃の家に向かった。
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