純愛ワルツ
もう23時か。

今日は時間が経つのが早いな。




「…先輩、お先っス」


「あぁ。さっきはいきなり胸倉を掴んだりして悪かったな」


「いえ…」




教材などが入ったメッセンジャーバッグを掛けてロッカーを閉め


スタッフルームのドアを開けた。





「柏木」


「…何スか?」


「付き合えなくても、お前がそうやって傷付いてくれるだけで、天音ちゃんも嬉しいハズだよ。だから元気出せ」




傷付いてんのか、俺。



今まで散々女の子をフって来たけど、別に何とも思わなかった。




なのに今、心にポッカリ穴が空いたように感じるのは


天音をフって傷付いてるからなのか…。






七夕が終わり、夏の星座が輝く空を見上げながら家路に着くと



ドアの前に誰かが座っていた。
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